研究室紹介

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 私(横山)は平成14年に群馬大学医学部保健学科教授に着任しましたが、当時、博士前期課程2年の松井君はleptinの虚血再灌流心に対する影響を動物モデルで検討していて、leptinはTNFαとも関連があり、leptinの心血管疾患への作用が本研究室の最初のテーマでした。松井君は保健学専攻博士前期課程を修了後、医科学専攻博士課程に進学し、倉林 正彦教授のもと臓器病態内科(現 内科学講座循環器内科・呼吸器内科分野)で研究に邁進し、その後、保健学科の助教に着任しました。この研究室の大学院生は多くの時間を医学科の循環器内科・呼吸器内科分野の実験室で過ごしているのですが、これは倉林教授をはじめとする先生方と本研究室との強いつながりによるもので、今後も是非このつながりを大切にしていきたいと考えています。
 
 本研究室ではleptinが虚血性心疾患や心肥大の発症、進展に関わっていることを明らかにしてきましたが、leptinが肥満と関係し、leptinに強く影響を受ける因子について検討した結果、Stearoyl-CoA desaturase 1 (SCD1)とElongation of long chain fatty acid member 6 (Elovl6)に注目しました。現在、SCD1およびElovl6の発現や機能と循環器疾患との関係を臨床検体、動物モデルおよび培養細胞を用いて検討しています。私は循環器が専門なのですが、内科学講座では呼吸器も研究のテーマであることから、脂質代謝と肺疾患発症との関係も明らかにしていこうと考えています。
 
 このように本研究室での主な研究テーマは飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸、およびこれらの脂肪酸動態を制御する酵素と心疾患、動脈硬化および肺疾患の発症、進展への関わりを明らかにすることですが、本研究室の大学院生は循環器内科の磯達也先生、小板橋紀通先生の指導の下でも研究を行っています。磯先生の研究によると、血液と実質細胞の間に存在する毛細血管が、脂肪酸の利用に大きく関与することがわかってきました。現在、FABP4/5, FAT/CD36, PPARα/γ, Notchシグナルなど分子を中心に、毛細血管機能を解析しています。また、動脈硬化形成における上記分子の機能も解析中です。小板橋先生は新規の心肥大、心不全の治療ターゲットを明らかにすべく、遺伝子改変マウスを用いて、大動脈縮窄による圧負荷心肥大モデル、心筋梗塞モデルなど、様々な病態モデルを作成し、遺伝子・タンパクレベルだけでなく、カテーテルやエコーによる心機能解析などを融合させて解析しております。
 このように本研究室および循環器内科・呼吸器内科分野では遺伝子改変動物やモデル動物、培養細胞を用い、生理機能および組織細胞レベル、遺伝子レベルで様々な手法を用いて心臓、血管、肺疾患の病態を詳細に検討することを目的としています。
 
 私は保健学科(学部)では主に臨床生理学(心電図検査や超音波検査など)を担当しており、卒業研究はボランティア学生を対象として呼気ガス分析装置などを用いた臨床的な研究を行っています。しかし、大学院では卒業研究とは全く別の基礎的な研究になります。これは限られた期間(特に博士前期課程の2年間)で、世界に発信できるような研究をしてもらいたいという思いからです。実際、ほとんどの博士前期課程の学生が2年間で日本循環器学会(循環器分野では国内最大の学会です)にて発表する機会を得ています。また、後期課程ではAmerican Heart Associationなどの国際学会でも発表しています。平成14年から今年までに博士前期課程に31名、後期課程に3名の学生が在籍していますが、群馬大学医学部保健学科から進学した学生だけではなく、工学部や教育学部出身の学生もいます。したがって、本研究室では必ずしも学部で保健医療や臨床生理学を学んでいる必要はありませんが、動物や培養細胞を用いた実験に興味があり、世界に発信できるような質の高い研究をしてみたいという意欲ある学生を求めています。
 
 また、大学院での研究は基礎研究が中心になりますが、臨床検査技師の資格を持っている学生には、週に半日ほど群馬大学医学部附属病院や関連病院で超音波検査や生理機能検査の臨床研修を行う機会も用意しています。

本研究室修了生の進路

(入学時に就労していた学生も含みます)

平成29年4月1日現在

病院/検査センター(公立病院を含む) 12名
病院以外の公務員 2名
企業(研究関連) 2名
企業(治験関連) 4名
企業(医療機器関連) 1名
企業(その他) 1名
大学の研究補助 2名
大学教員 1名
在学中(博士課程へ進学) 1名